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ねぇTom、なんか毎日バタバタしてるのに、やりたいこと全然できてない気がするのよね。

あー、それめっちゃ分かる。気づいたら夜だし、1日どこいった?って感じ。

スケジュール帳とかToDoリストとか、いろいろ工夫してるのに、結局振り回されてるだけで…。

あれもこれも効率よくやらなきゃって焦るほど、なんか空回りするんだよね。
「頑張ってるのに時間が足りない」「計画してるはずなのに予定通り進まない」──そんな悩みを抱える人は多いはずです。本書『本当の時間術』は、単なるスケジュール術ではなく、「なぜ時間が足りないと感じるのか」「どうすれば時間に支配されず生きられるのか」を、最先端の科学と著者自身のリアルな経験からひも解く実践書です。
短時間で多くのタスクをこなしても、満足感が得られない理由が明らかになります。脳が「緊急性」に弱く、「重要性」を後回しにしやすいという性質をどう扱うかがカギになります。
「最短」より「最適」を目指す時間管理とは何か?計画の立て方や期限の設定で、未来の自分に過剰な期待を抱かない現実的な方法が分かります。
習慣化の鍵は“振り返り”と“短縮版”。挫折を前提とした設計が、逆に成功率を上げるという新しい発想が紹介されます。

著者 | 望月 俊孝 |
出版社 | すばる舎 |
出版日 | 2024年10月18日 |
ジャンル | 生産性・時間管理 |
現代人が時間に追われる最大の理由は、「やることが多すぎるから」ではなく、「やるべきことを選べていないから」です。特に重要なのが、“緊急性”と“重要性”の混同です。私たちの脳は、今すぐやらなければいけないように感じる緊急タスクに過敏に反応します。たとえば「あと10分でセール終了!」という広告には、無意識に動かされてしまうのです。
しかし、それが本当に重要なこととは限りません。本書ではこの人間の性質を「単純緊急性効果」と呼び、科学的に裏付けられた実験結果を紹介しています。私たちは「得をするかどうか」よりも、「今すぐやらなきゃ!」という感覚に行動を支配されているのです。
そこで必要なのが、「これは自分にとって本当に必要な行動か?」という問いかけです。本書では、チャールズ・シュワブに時間術を伝えた「アイビー・リー・メソッド」を紹介しています。やり方はシンプルで、1日の終わりに翌日やるべきタスクを6つ書き出し、優先順位をつけて順に取り組むだけです。しかしこの方法こそが、時間の迷子にならない秘訣なのです。
最も大事なことを最も疲れていない時間にやる。この徹底が“人生の方向性”すら変えてくれると、本書は力強く語っています。「やること」を増やすのではなく、「やらないこと」を明確にする。これが“本当の時間術”の最初の一歩なのです。
「自分らしい時間の使い方」を模索する人は多いですが、その答えは案外“他人の中”にあるのかもしれません。本書では、「他人の時間の使い方を徹底的に観察する」ことの重要性が繰り返し語られています。
たとえば、東京大学が行った創造性に関する研究では、「模写」した人のほうが独自の創造性が高まったという結果が出ています。これは「時間の使い方」にも当てはまります。
著者自身も、成功している人のスケジュールを見て、「あらかじめ“執筆時間”を入れていること」に衝撃を受けたと語っています。「空いた時間にやろう」と思っている限り、大事なことは一生後回しになります。真似をするという行為は、単なるコピーではなく「その人の思考の流れ」をたどることでもあります。そこには、自分では想像できない“選択基準”や“優先順位”があり、それを知ることで新しい視点が得られます。
また、成功者のスケジュールには「詰め込みの技術」もありました。あえて1日に用事を集中させることで、それ以外の日を“余白時間”にできるという発想です。時間を「たっぷり使う」のではなく、「うまく区切って使う」ことで、集中力もリズムも高まるのです。
真似する中で、「これは合わないな」「このやり方は取り入れたいな」というフィルタリングが起こり、自分らしさに磨きがかかっていきます。自己流だけではたどり着けない「納得のいく時間設計」は、他人のやり方からこそ生まれる。だからこそ、今すぐ“真似る”ところから始めてみましょう。
「計画は面倒」「すぐ予定通りにいかなくなる」という理由で、ノープランで行動している人は少なくありません。しかし、実は“計画を立てること”自体に大きな意味があると、本書では教えてくれます。人間の脳は、未完了のタスクに執着する「ザイガルニック効果」があるため、ただ紙に書くだけで「やることから離れてもよい」と安心するのです。
さらに、効果を最大限にするには「IF-THEN」の形式が効果的です。たとえば「朝7時になったら、台所で5分間ストレッチする」というように、時間と場所を含めた行動計画を立てることで、実行率が飛躍的に上がることがわかっています。
加えて、もう一つのキーポイントは「最適な期限」です。人は未来を楽観的に見積もる傾向があり、「最短でこれくらいで終わるだろう」と思いがちです。しかし実際は、トラブルや気分の波で予定が狂い、結果的に間に合わないことも多いのです。
そこで著者は、作業を細かく分解し、過去の経験を参考にしながら“予備時間”をあらかじめ組み込んでおくことを提案しています。さらに有効なのが、「中間期限」を設けて、他人に進捗を報告する仕組みです。心理的プレッシャーが良い意味で作用し、行動を継続させやすくなります。
このように、「実行しやすく」「失敗しにくい」計画の作り方が、再現性のある成果を生む土台になるのです。計画とは、未来を約束するための設計図ではなく、“今日の自分が明日の自分を助けるための贈り物”です。
毎晩、寝る前に翌日やるべきことを最大6つまで書き出す時間をとりましょう。その際、それぞれのタスクに「なぜそれをやるのか?」という理由も一言添えてください。1位のタスクから着手し、それが終わるまでは2位以下には絶対に手をつけないようにします。この方法は、選択の迷いや作業の中断を防ぎ、「決めたことに集中できる」時間を生み出します。
まずは身近にいる「仕事が早い人」や「余裕があるように見える人」の時間の使い方を観察してみましょう。SNSや本で見かける成功者の“朝の習慣”や“1日のスケジュール”を参考にしても構いません。「これは取り入れられそうだな」と思う習慣があれば、1つだけでいいので明日から試してみてください。たとえば「朝はスマホを見ずに読書10分」「週に1度は予定をまとめて入れる」など、小さな真似でも続けることで効果を実感できるようになります。
「やりたいこと」が決まったら、それを“いつ”“どこで”やるかを具体的に書き出してみましょう。「IF(朝7時になったら)→ THEN(リビングで10分間ストレッチする)」というように、時間・場所を含めたアクションを設定するのがコツです。さらに、「その予定が崩れたときの予備プラン」も用意しておくと安心です。例えば、朝できなかったら「夜9時以降に5分だけやる」などの短縮版も考えておくと、習慣が途切れにくくなります。
本書は、科学的エビデンスや実体験に基づいて、日常生活にすぐに応用可能なタイムマネジメント術を数多く紹介しています。具体的なToDoリストの書き方や習慣化の手順、スマホ依存の対処法など、読者が即実践できる方法が豊富です。ただし、一部は著者個人の経験談に依存しており、汎用化には限界も見られます。
シンプルな構成で「〇」「×」の形式を多用し、初心者にも理解しやすい工夫が施されています。専門用語の解説や図表も少なく、平易な言葉で説明されているため、読書にストレスを感じません。物語調の導入や事例の具体性も、読者の理解を助けています。
幅広い読者層を想定している一方で、内容の一部はビジネスパーソンや自己啓発に興味のある人に偏っています。職種や生活スタイルによっては実行が難しいアドバイスも含まれており、万人に通用するとは言い切れません。また、文化的・経済的背景の異なる読者にとっては距離を感じる箇所もあります。
話し言葉に近い口調で書かれており、テンポよく読み進められます。章ごとに主張が明確で、項目ごとに完結しているため、途中から読んでも理解しやすい構成です。エピソードの挿入もテンポを損ねず、全体として非常に親しみやすい文体です。
心理学や行動科学、経営学などの研究を引用しており、一定の信頼性があります。ただし、論文の精度や文献の引用がやや断片的で、厳密な専門書とは言えません。また、一部の研究には古い説や信憑性の低いエピソードも含まれ、学術的な厳密性には欠ける印象があります。

これ読んでから、時間術のイメージが全然変わったよ!

ほんと。「もっと早くやれよ自分!」って叱らなくなった(笑)

「何に時間を使うか」って問いが、今の自分には必要だったかも。

俺も今日から“最短”じゃなくて“最適”な計画立てるわ。
「時間が足りない」と感じるときこそ、自分の生き方を見直すタイミング。本当にやるべきことに、集中できる時間の使い方を──。本書はそのための“人生設計としての時間術”を教えてくれる一冊です。