【要約・書評】健康の結論

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はじめに

Mam
Mam

Tom、最近ふと思ったんだけど、日本ってこんなに医療が発達してるのに、なんで毎年たくさんの人ががんとか心臓病で亡くなってるの?

Tom
Tom

それ、俺も疑問だった。実は「防げる死」って言葉があるらしいよ。知ってた?

Mam
Mam

えっ、初耳かも。どういう意味?

Tom
Tom

「検査すれば予防できたのに」「知っていれば避けられたのに」っていう死のことをそう呼ぶんだって。

「知らなかった」では済まされない。“生きられる命”が日々失われている――。がん、心臓病、脳卒中、自殺など、日本人の死因上位を占める多くの病は、実はある程度「防ぐ」ことができます。

堀江貴文氏が提唱する“予防医療”のアプローチは、「防げる死を防ぐ」というシンプルかつ本質的なテーマに基づいており、最新の医療知見やテクノロジーを通して生き抜くための具体策が語られています。

この書籍で分かること

分かること1:なぜ「防げる死」が防がれていないの?

医療や検査で予防可能な病気が多いにもかかわらず、情報格差や誤解により予防医療が浸透していません。特にピロリ菌やHPVのような感染症由来のがんは、検査とワクチンで大幅にリスクを下げられるのです。

分かること2:自分で命を守るにはどうすればいい?

予防医療は医師任せではなく、自分で知識を得て行動することが鍵です。例えば、定期的ながん検診や、心肺蘇生の知識を持つことも“命を守る力”になります。

分かること3:なぜ堀江貴文が予防医療に取り組むの?

医師ではない著者が医療分野に関わる背景には、「知らなかったせいで死ぬ人を減らしたい」という強い信念があります。情報発信力を武器に、予防医療を広める社会活動にも力を注いでいます。

参考書籍の概要

本書の3つの要点

要点1:情報格差が命を左右する

「防げる死」を減らすために最も大切なことの一つが、“正しい情報”へのアクセスです。現代はネット社会であるにもかかわらず、医療に関する信頼できる情報は一般の人には届きにくいのが現状です。特に医療系の論文や専門サイトは専門用語が多く、一般人には理解しにくいため、信頼性が低くても分かりやすい情報に流れてしまいがちです。

テレビ番組やSNSで紹介される健康法やサプリメントが優先され、「検査を受ける」「医師の話を聞く」といった本質的な行動が後回しになっています。堀江氏は、自身のネットワークと発信力を活かして、医師との対談や現場の声を拾い、一般人に噛み砕いて伝える努力をしています。

その中で特に重要視されているのが、ピロリ菌検査、HPVワクチン、大腸がん検診など、既に効果が実証されている予防策の周知です。こうした情報を知らないまま病気になってしまう人が多いというのが、日本の医療現場の現実です。

情報があるのに伝わっていない。だから「情報格差が命を分ける」と言えるのです。例えば、胃がんの9割はピロリ菌が原因とされており、除菌すれば大幅にリスクを減らせます。しかしその情報を知っていて、実際に検査を受けている人はごく一部にすぎません。堀江氏は、これは一種の社会課題であり、民間の発信によってカバーすべき領域だと考えています。

要点2:検査・予防が最強の医療になる

病気を未然に防ぐという考え方は、今や世界中の医療界で常識となっています。がん、心臓病、脳卒中、子宮頸がんなど、日本人の死因上位に挙がる病気の多くは、実は「予防」が可能です

たとえば、大腸がんは毎年約5万人が亡くなっているにもかかわらず、便潜血検査や内視鏡検査を受けることで早期発見ができ、9割以上が助かる病気とされています。それでも検診の受診率は非常に低く、地域によっては2〜3割にとどまっています。

堀江氏は、寝ている間に終わる検査方法の紹介や、検査のハードルを下げる工夫の必要性を訴えています。さらに、HPVワクチンの接種によって子宮頸がんのリスクを約90%減らせることも分かっていますが、日本では副反応問題による不安で接種率が非常に低いのが現実です。

堀江氏はこれを「もったいない死」と表現しており、国や自治体だけでなく個人も予防に対して意識を変えるべきだと説いています。病気になってからでは遅いのです。

予防医療は一見地味に見えるかもしれませんが、実は最も合理的で効果的な医療の形です。検査費用の一部が自治体負担になる制度も多く、利用しない手はありません。行動のハードルを下げる工夫をすることが、より多くの人の命を救うことにつながるのです。

要点3:誰もが命を救える力を持っている

医療行為は医師だけのもの――そう思っている人は多いかもしれません。しかし実際には、私たち一般人も“命を救う力”を持っています。その象徴が「AED(自動体外式除細動器)」です。日本では年間約7万人が心臓突然死で亡くなっていますが、その多くは心停止直後にAEDを使用すれば助かった可能性があるのです

ところが、実際にAEDが使用されたケースはわずか4.5%。多くの人が「使い方が分からない」「責任を負うのが怖い」といった理由で行動できていないのが現状です。堀江氏はこの現実に警鐘を鳴らし、ゲーム感覚でAEDの使い方を学べる教材の開発や、スマホと連動したAEDマップの整備など、行動しやすい環境づくりを提案しています。

特に注目すべきは、「とにかく行動することが最も合理的だ」という考え方です。仮に助けられなかったとしても、救命処置を試みた人が罪に問われることはありません。誰かが倒れていたら、119番通報、心臓マッサージ、そしてAEDの使用。この3ステップだけで救命率は劇的に上がります。

京都大学では心肺蘇生とAED使用のトレーニングを新入生全員に義務づけているなど、教育レベルでの取り組みも進んでいます。私たち一人ひとりが知識を持ち、使えるようになることで、「救える命」は確実に増えます。つまり、予防医療とは医師の領域だけではなく、社会全体で取り組むべき命の守り方なのです。

3つのアクションプラン

プラン1:正しい医療情報を知るようにする

まずは信頼できる医師や医療機関の情報をSNSや書籍で継続的にチェックするようにしましょう。情報収集の習慣をつけることで、世の中に広がる不確かな健康情報との違いが見えてきます。

NHKや厚生労働省の公式サイト、専門医による発信をフォローするのも有効です。何か気になる健康法を見かけたときは「その根拠は何か?」と自問し、必ず複数の情報源で裏を取る癖をつけましょう。

プラン2:毎年1回、がん検診を受けるようにする

がん検診は「面倒そう」と感じがちですが、予約さえしてしまえばあとは流れに身を任せるだけです。特に便潜血検査は自宅でできる簡易な方法もあり、検診のハードルは実は低いのです。

市町村や職場からの検診通知は見逃さず、スマホのカレンダーや手帳に即記入することで忘れを防ぎましょう。また、検査結果は見て終わりではなく、結果をもとに次の行動(再検査・生活改善)に移す意識も大切です。

プラン3:AEDと心肺蘇生の講習を受けるようにする

地域の消防署や自治体では、無料または安価で心肺蘇生やAEDの使い方講座を開催しています。定期的に講習を受けることで、知識が定着し、緊急時にも落ち着いて対応できる自信がつきます。

講習を受けたら、AEDの位置を確認できるアプリやマップもダウンロードしておきましょう。さらに、家族や職場の仲間にも受講を勧めておくことで、身の回りの救命力を高めることができます。

本書の評点

実用性
 (4)
分かりやすさ
 (5)
汎用性
 (3)
読みやすさ
 (4)
専門性
 (3)

実用性   

この本は、がん、心疾患、脳卒中、自殺、歯周病など日本人の主要死因に焦点を当て、それぞれに対する予防法や検査方法を具体的に提示しており、日常生活に直結する実用性があります。ただし、医療制度や予防手段の現実的な制約(アクセスのしにくさ、費用負担など)への言及が少なく、理想論に寄る部分があるため満点は避けました。

分かりやさ   

一般読者を対象としているため、専門用語は極力排され、図や例、比喩が多用されており、読みやすさと理解のしやすさが高いです。特に医師との対話形式や実体験に基づいたエピソードが効果的で、初心者でもついていきやすい構成です。

汎用性 

テーマが「予防医療」という限定的な範囲に集中しているため、内容の幅広さには限界があります。また、読者層もある程度健康意識の高い人を前提としている印象が強く、健康に関心が薄い層には刺さりにくい可能性があります。

読みやすさ 

語り口が軽快で、著者の個人的な語りや意見が随所に入り、テンポ良く読み進められます。ただし、章構成の一貫性や論理展開にやや散漫さがあり、時に同じ主張が繰り返される印象を与えるため、1点減点としました。

専門性 

医師への取材や医学的根拠のある情報がベースになっているため、一定の信頼性と専門性があります。ただし、著者自身が医師ではなく、専門家の意見を借りる形で構成されているため、専門書としての厳密さや深度には限界があります。

まとめ

Mam
Mam

なんか…予防医療って「病気になる前に」ってことだと思ってたけど、実は「生きる力」そのものなんだね。

Tom
Tom

うん、誰かに頼るんじゃなくて、自分で命を守るって感覚。すごく納得した。

Mam
Mam

とりあえず、まずは便潜血検査から予約しようかな(笑)

Tom
Tom

俺もAEDの講習申し込んでみるよ。こういうのって“行動”が命を救うってことだよね。

今の日本で、命を守るために必要なのは、特別な医療技術でも遺伝子治療でもありません。「正しく知ること」「検査を受けること」「行動すること」――これこそが、あなたの命を守る最前線なのです。

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