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ねぇTom、最近部屋の片づけしてたら、なんかモノが多すぎてゲンナリしちゃって…。

わかる〜。俺も服とか本とか、「いつか使うかも」って思って取ってあるけど、結局使わないんだよね。

それなのに捨てられないのがつらい。なんか手放すのって、罪悪感あるというか…。

あ、それで思い出した。堀江貴文の「捨てること」に関する本、めっちゃ刺さったよ。
「捨てたいけど、捨てられない」「手放したいのに、何かが怖い」
そんな迷いや執着に苦しんでいる人にこそ、堀江貴文氏が語る“捨てる哲学”は大きなヒントになります。本書は、所有欲・人間関係・家族・プライドに至るまで、人生を重くするすべてを手放すことで得られる「本当の自由」について綴られた一冊です。
モノを持つことで得られる安心は、一時的な錯覚にすぎません。逆に「手放すこと」でこそ、思考や行動が軽やかになり、人生の選択肢が広がります。
守るべきだと思っているプライドは、多くの場合あなたの成長を邪魔する足かせです。人との関係性も、自分の自由も、プライドを手放して初めて動き出します。
モノや人に対する執着を手放すことで、視界がクリアになり、自分が本当に大切にしたいものが明確になります。その瞬間から、人生が大きく動き出します。

著者 | 堀江 貴文 |
出版社 | 徳間書店 |
出版日 | 2019年7月30日 |
ジャンル | キャリア・人生設計 |
「モノを持つことで安心できる」という感覚は、多くの人が無意識に抱いているものです。しかし堀江貴文氏は、自身の幼少期の“ナスビさんチョッキ”のエピソードを通じて、「大事だと思い込んでいたモノが、実は幻想にすぎなかった」と振り返ります。そのチョッキを失ったとき、彼は深く悲しみましたが、数年後には「なぜあれほど執着していたのか分からない」と気づきます。
これは私たちの“所有欲”に対する姿勢を象徴しています。所有欲は、「それがあることで自分が満たされる」という誤った前提から生まれるものです。しかし実際には、持っているだけで管理のコストがかかり、場合によっては心を縛る重荷になります。
たとえば、家や車などの大きなモノだけでなく、趣味で集めたコレクションや、昔の思い出の品すらも、今の自分にとっては「行動を制限する要因」になることもあります。堀江氏自身、かつて切手収集に熱中していましたが、「1億円あれば全部手に入る」と気づいた瞬間に興味を失い、すべて売り払いました。
つまり、希少性すらも“金で解決できる”と分かったとき、モノの価値は一気に薄れるのです。そして何より重要なのは、「欲しいという気持ちは、獲得した瞬間に消える」という事実です。これは、「所有=充足」ではないことの証です。
堀江氏は、モノを持たなくなってから、行動の自由が格段に増したと語ります。実際に彼は現在、家も車も家電も持たず、手荷物はスーツケース4つとスマホ程度という生活をしています。この“持たない生活”によって、必要なときに必要な場所に行けるフットワークが手に入り、情報やチャンスへのアクセスが飛躍的に向上したのです。
重要なのは「何を持つか」ではなく、「何を持たないか」。所有とは“幸福の証”ではなく、“行動の制限”であるという新しい価値観を提示してくれる一章です。
プライドとは、一見「自分を守るための心の支柱」のように思われています。しかし堀江氏は、それがむしろ人生において最初に捨てるべきものだと断言しています。
彼自身、小学生のころから「正しいことは正しい」と主張する姿勢を貫いてきました。クラスで多数派の意見に反しても、自分が正しいと思ったら堂々と反論し、その結果、浮いた存在になったこともあるといいます。でも、その“浮いた体験”こそが、自分の価値観やアイデンティティを確立する土台になっているのです。
堀江氏は「人間関係はゼロかイチではなく、グラデーションでできている」と語ります。つまり、「全部分かり合う関係」ではなく、「この点は一致してるけど、別の点では全く違う」という関係性の方が、実は現実的であり、健全なのです。
ところが多くの人は、関係性を“白黒”で判断しがちです。気に入られたい、嫌われたくないという気持ちから、自分の意見を押し殺し、空気を読むことばかりにエネルギーを使ってしまうのです。その結果、自分の「言いたいこと」がどんどん言えなくなり、人間関係に疲弊していきます。
堀江氏の考える理想的な関係は、“セミドライ”です。つまり、仕事でつながるけれど、必要以上に情を交わさない。他人に期待しすぎない、助けを求められたときだけ手を差し伸べる。そのように適度な距離を保った関係こそが、長続きしやすく、かつストレスの少ない関係なのです。
「本音を言える側の方が圧倒的に強い」と彼は断言します。そして、本音でぶつかった相手とのほうが、むしろ長期的には信頼関係が築かれやすいとも述べています。
さらに、彼が強調するのは「フレームを言う」ということ。自分はこう考えている、という不変の価値観(フレーム)を何度も言い続けることで、相手との摩擦を最小限にしながら信頼を積み重ねることができるといいます。プライドを捨てて本音で語ることは、実は自分の信念を貫くための“攻め”の姿勢なのです。
堀江氏は、自分の人生を進める中で多くの「別れ」や「手放し」を経験してきました。そのなかでも特に印象的なのが、「上京するときに家族を残してきた話」です。自分は何の迷いもなく東京へ旅立ち、新しい生活への期待で胸をふくらませていましたが、残された側である両親や祖母は大きな寂しさを感じていたことが後にわかります。祖母は、点いていない部屋の電気を見るたびに「貴文がいない」と涙ぐんでいたというエピソードは、読者の胸を強く打ちます。
しかし堀江氏は、こうした“寂しさ”は「見送る側」の役目だと割り切ります。つまり、自分が変化し、成長しようとする以上、必ず誰かが取り残され、寂しい思いをする。それを理由に「変わらないでいること」を選ぶのは、本質的に間違っていると彼は考えます。むしろ、成長する人間の責任は「背中を見せること」なのです。
この価値観は、家族や地元に強く縛られている人にとっては非常に厳しく感じるかもしれません。ですが、堀江氏ははっきりと「家族も家も捨てていい」と言います。なぜなら、これらの関係性は制度的に刷り込まれたものであり、必ずしもあなたの幸せと一致しているとは限らないからです。自分が選びたい人生のためには、誰かにとっての“寂しさ”を引き受ける覚悟が必要なのです。
さらに堀江氏は、結婚・離婚・子どもの養育費に至るまで、一見「捨ててはいけない」とされる事柄に対しても、自ら手を打ち、しっかりと“責任ある決断”として手放してきました。彼の「捨てる」は冷たい行為ではなく、むしろ次のステージに進むための“勇気ある選択”なのです。私たちも、何かを手放すときの罪悪感やためらいを抱えるのではなく、それが新たな可能性につながる扉であることに気づくべきなのです。
まずは「1年以上使っていないモノ」を基準に、処分対象を選びましょう。収納棚・クローゼット・本棚など、1日1か所ずつ見直すだけでも十分です。
売れるものはメルカリに出す、譲れるものは人にあげるなど、出口の選択肢も用意しておくと捨てやすくなります。処分したスペースが“余白”として生まれたときの爽快感を、ぜひ体感してください。
職場や家庭で、「本当はこう感じてるんだけど」と思ったことを、一度口に出してみましょう。言いにくい内容でも、“感情ではなく事実”として伝えることで対立を避けられます。
自分の枠組み(フレーム)を言葉にする練習を、毎日の雑談ややり取りの中で少しずつ積み重ねてください。最初は勇気がいりますが、続けることで確実に人間関係が楽になります。
「誰かに悪いからやめられない」と感じる関係や習慣があれば、一度ノートに「本当にそれが必要か」を書き出して整理してみましょう。手放す相手や物事に対して、今の自分が背負うべき理由がないと気づけば、自然と決断できます。
寂しさはついて回りますが、それを“自分の責任”とせず、「それは向こうの課題だ」と切り分ける意識を持ちましょう。勇気を持って別れを選んだその先には、より自由で自立した未来が待っています。
書かれている「モノを捨てる」「執着から自由になる」といった思想は、実生活の断捨離やミニマリズムの実践に役立ちます。ただし、抽象的・精神論的な部分が多く、読者が行動に落とし込むにはやや難があります。特定のノウハウや方法論が明示されていないため、応用するには読者の自発性に強く依存します。行動を後押しするには、具体的なステップや事例がもう少し欲しかったです。
語り口は平易で、体験談をベースにしているため感情移入しやすく、読者が共感しやすい構成です。ただ、思考の飛躍が多く、話題が急に切り替わる箇所があり、全体の論理性がやや散漫に感じられる場面があります。主張を補強するためのデータや外部事例が乏しいため、論拠が個人的体験に偏っている印象も受けます。それでも、伝えたいメッセージ自体は一貫しており、読み進める負担は少ないです。
著者自身の特殊な生活環境(ノマド生活・成功した起業家)に基づいた内容が多く、一般的な読者には現実味が薄いです。働き方や家庭環境、責任の重さが異なる人々にとっては、そのまま実践するのは難しいでしょう。特に「家を持たない」「ほぼ無所有で生活できる」といったライフスタイルは多くの人にとって非現実的です。汎用性を高めるには、立場や環境が違う読者にも響く補足が必要だったと感じます。
カジュアルでリズミカルな文体で、読み手の感情をつかむ力はあります。章ごとの区切りや繰り返されるメッセージの強調が、テンポの良さと印象づけにつながっています。ただし、感情表現が強すぎたり、主張がエッジが効きすぎていて、受け取り手によっては反発や違和感を覚える部分もありました。また、同じ主張を何度も繰り返しているため、後半はやや冗長に感じる読者もいるかもしれません。
本書は自己啓発書としての立ち位置であり、専門的な学術的背景や裏づけはほとんどありません。経験談ベースの説得力はあるものの、心理学、社会学、経済学といった視点は補足的にしか現れません。「断捨離」や「所有欲のメカニズム」といったテーマを深く掘り下げるには、やや知見が浅く感じられます。専門的な理論や研究結果を期待する読者には物足りない内容です。

いや〜、ホリエモンってなんか冷たい人かと思ってたけど、めちゃくちゃ人間らしい話だったね。

うん、意外と“寂しさ”とか“弱さ”をちゃんと受け止めたうえで、「捨てる」って行動してるのがすごく共感できた。

「捨てる」ってネガティブなことかと思ってたけど、むしろ“前に進む”ための大事な選択なんだね。

そう。俺もまずは、クローゼットの中から自由になってみるかな(笑)
「捨てる」という行為は、決して冷たいものではなく、より自由に、より豊かに生きるための選択肢です。堀江貴文の生き方は、それを証明しています。今こそ、“捨てる勇気”を手にして、次のステージへ進んでみませんか?