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ねぇTom、最近お金の話をするのってちょっと抵抗あるって思ってたんだけど、これ読んで意識がガラッと変わったの。

お金の話って避けられがちだもんね。でも夢を追いかけるにも現実問題お金って必要だしなあ。

そうそう!西野亮廣さんの『夢と金』って本、すごく刺さったのよ。夢の実現にはお金の理解が不可欠って、あらためて気づかされた。

えっ、西野さんってお笑い芸人だけじゃなくて、そんな話もしてるんだ?
「夢を語るならお金の話は後回しにすべき?」
そんな日本人にありがちな固定観念に真っ向から反論するのが、本書『夢と金』です。著者の西野亮廣さんが、夢を実現するために避けては通れない“お金の真実”を、実例を交えながら語っていきます。
夢を実現するには行動が必要であり、行動には資金が不可欠です。夢だけでは食べていけない現実に、向き合う姿勢を教えてくれます。
富裕層が支えることで、他の価格帯が安定し、より多くの人にサービスが届く仕組みがあります。高価格帯を排除すると、かえって弱者に負担がかかるという本質が語られます。
現代では機能だけでは差別化できません。「誰から買うか」「何を応援するか」が、商品の価格と価値を左右します。

著者 | 西野 亮廣 |
出版社 | 幻冬舎 |
出版日 | 2023年4月19日 |
ジャンル | ファイナンス・マーケティング |
「夢を追う人はお金の話をすべきではない」という考え方は、幻想にすぎません。夢を叶えるためには、計画と実行が必要であり、そのどちらにも必ず資金が関わってきます。本書では、実際の社会問題や事故の背景にある“お金の知識不足”がいかに人命を脅かすかが描かれており、そのリアルさが胸に刺さります。
たとえば、知床観光船の事故では、整備や安全対策が資金不足のために後回しになった現実がありました。結果として、その代償は命でした。クラウドファンディングも、知識がなければ費用対効果の低いリターン設計で失敗に終わってしまいます。Tシャツを返礼品にして赤字を出す人たちは、計算ができていなかったのです。
著者は、そういった失敗を「無知が招く悲劇」として繰り返さないためにも、最低限のお金のリテラシーを身につけることを強く推奨しています。「お金は汚い」と思考停止するのではなく、「お金があるから夢が続く」という現実を直視する姿勢が求められています。
夢を語る人が、数字に弱くては周囲の信頼も得られません。逆に、お金を正しく扱える人は、夢の実現に必要な仲間も引き寄せられます。資金を集める技術は、夢をつなぐ技術でもあります。希望を届けるために必要なのは、綺麗事ではなく、現実と向き合う冷静な知識です。「夢を叶えたいなら、まずお金を学べ」。それがこの本が最初に突きつけてくる現実です。
高価格帯の商品に対する偏見は、日本では根強く残っています。「高すぎる」「贅沢だ」と叩かれることもしばしばありますが、本書ではそれがいかに本質を見誤っているかが丁寧に解説されています。
たとえば飛行機の座席構成を例に取ると、ファーストクラスやビジネスクラスが存在することで、エコノミークラスのチケットが抑えられているのです。もしVIP席をなくしてすべてエコノミーにした場合、座席数は増えても全体の売上が足りず、1人あたりの価格は上がってしまう。つまり、高価格帯の商品は、実は価格調整弁の役割を果たしているのです。
劇場でも同じ構造が見られます。3万円のSS席があるからこそ、一般席が安く提供できてファミリー層も楽しめる公演が成立します。高額な席を買ってくれる人がいるからこそ、多くの人が娯楽にアクセスできるのです。
そして、これらの高額商品を購入する富裕層は、ただ「機能」にお金を払っているのではなく、「意味」や「関係性」に投資しているのです。たとえば、VIP席を買う人は席の位置よりも「応援している」という感覚に価値を見出しています。こうした購買心理を理解せずに「高すぎる」と批判してしまえば、その結果苦しむのは、実はお金に余裕のない人々なのです。
この構造を理解しないまま、感情論で高価格帯商品を否定するのは、むしろ社会的に不公平を加速させる行為です。夢を多くの人に届けたいならば、高価格帯の商品やサービスを設計し、それを正しく理解してくれる富裕層に向けて発信するべきです。
そうすることで、本当に支援が必要な人に、届くべき機会が届く仕組みが整います。富裕層を“搾取する側”と誤解せず、共に夢を支える“支援者”として捉えることが大切です。
現在、どんな業界でも「機能の差」で勝負するのが難しい時代に突入しています。家電、飲食、美容、どの分野でも情報が飽和し、品質や価格は横並びになりつつあります。つまり「どの商品を選んでも大差ない」という状態です。こうなると、消費者が選ぶ基準は「機能」ではなく「意味」にシフトしていきます。「誰から買うか」「なぜ買うのか」という“物語”のある商品が選ばれるのです。
たとえば、ラーメン店A、B、Cが全て同じ味で同じ価格だったとしても、応援したいオーナーの店に行く人が増えているのが今の現実です。これを本書では「人検索」と呼びます。つまり「何を買うか」よりも「誰から買うか」が重要視される時代です。
これをビジネスに応用するには、まず「意味」を言語化し、日々発信し続けることが必要です。加えて、「応援される構造」をつくることも重要です。著者が提唱する「応援シロ=目的地÷現在地」という考え方は秀逸で、夢に向かう途中であることを可視化することで、ファンは応援する理由を見つけます。
そして、クラウドファンディングやNFTでは、その“意味のある応援”に対して対価が支払われるのです。特にNFTのように「保有感」自体に価値がある時代では、「意味」がそのまま価格に跳ね上がるという現象が起きています。すでに売れた絵を宣伝し続けるという西野さんの戦略は、まさに「意味を売っている」好例です。
応援された経験は、支援者の“自尊心”を満たします。だからこそ、意味のある商品は何度でも買われるし、高額でも納得されるのです。商品の価値は、性能ではなくストーリーで決まる。そのことを本書は繰り返し強調しています。
まずは「知らない」を放置しないことから始めましょう。月に1冊、ビジネス書や会計・経済に関する入門書を読む習慣を取り入れてみてください。YouTubeの「お金の教養」系チャンネルやPodcastも活用すれば、通勤中や家事中にも学べます。
収入・支出の棚卸しをして、自分が何にお金を使っているのかを“数字”で把握するのも大切な第一歩です。身近なお金の流れを可視化することで、「自分にとっての適正な夢のスケール」も見えてきます。
一度、高級ホテルや高級レストランを「観察目的」で訪れてみましょう。接客の細やかさ、内装、過ごし方にどんな違いがあるかを意識して見ると、彼らが何に価値を感じているのかが垣間見えます。
あるいは、成功者のインタビューやドキュメンタリー番組を視聴して、行動パターンやお金の使い方に着目してみてください。実際にそうした人々が集まるセミナーや講演会に参加するのも有効です。「売れる商品を作る」ではなく「選ばれる存在になる」ためのヒントがそこにあります。
まずは自分の活動や商品に対して、「なぜそれをやっているのか?」を言語化してみましょう。それをブログやSNSで定期的に発信し、物語や背景を共有していくことが“応援される土台”になります。
商品の開発時には「この商品がどう人の心を動かすのか?」という視点を必ず取り入れてください。また、クラウドファンディングを使って「目的地」と「現在地」を明確に可視化すれば、“応援シロ”が自然に生まれます。意味のある活動には、意味で返してくれる支援者が必ず現れます。
本書は「夢を叶えるにはお金の知識が必要だ」と説き、クラウドファンディングや富裕層戦略、価格設定の実践例を豊富に紹介しており、特にクリエイターや起業家にとっては非常に有用です。ただし、情報がやや西野氏の活動に偏っており、業種を問わず汎用的に適用できる場面は限定されます。
たとえ話や比喩が豊富で感情に訴える語り口は印象的ですが、抽象的な概念や急な展開も多く、論理的な整合性や具体的な手順に欠ける箇所も見受けられます。感覚的に納得はできる一方で、体系的な理解を得るには読み手の読解力に依存します。
主にエンタメ業界、個人事業主、クラウドファンディングを活用する層を想定した内容であり、会社員や伝統的業界のビジネスパーソンにとっては直接的に応用しづらい部分が多いです。また、主張の一部は著者の信念や価値観に強く基づいており、万人向けとは言えません。
口語的で勢いのある文体は引き込まれるものがあり、読者を飽きさせない構成です。ただし、やや過激な表現や煽り口調が繰り返されるため、好みが分かれる可能性があります。とはいえ、テンポの良さは評価に値します。
マーケティングや価格戦略、コミュニティ論に関する洞察は実体験に基づくもので説得力がありますが、学術的・理論的な裏付けが乏しく、あくまで実践者の経験談という位置づけです。信頼性の面で補足情報や他の視点が欲しくなる場面も多いです。

やっぱり、お金を学ぶことって夢を叶える第一歩なんだね。

うん、なんか“金儲け”ってイメージじゃなくて、“夢を支える仕組み”って感じがした。

「意味を売る」っていう考え方、すごく腑に落ちたよ。自分の言葉とか想いに値段がつくなんて、ワクワクする!

俺ももう“安さで勝負”は卒業して、価値を作ることに集中しようかな。
夢を実現するには、「夢を見る力」と「お金を作る力」の両輪が必要です。どちらか一方では、前に進むことはできません。
「夢だけでは食えない」という現実に負けるのではなく、「夢を食わせるための知識」を持ちましょう。今こそ、希望をつなぐお金の話を始めるときです。