【要約・書評】僕が親ならこう育てるね

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はじめに

Mam
Mam

ねぇTom、今日もつい大声出しちゃって…息子、びっくりして泣いちゃったよ。あんなに小さいのに、私、何してるんだろう…。

Tom
Tom

うん…気持ち、めっちゃわかる。俺もオムツ替え拒否されてイライラして、「もう知らない!」って言っちゃったとき、自己嫌悪すごかったもん。

Mam
Mam

ほんと、怒りたくて怒ってるわけじゃないんだけどね…。何度も同じことが起きると、余裕なくなっちゃうよね。

Tom
Tom

しかも1歳って、まだ言葉も通じないし、どう伝えたらいいかも分からなくて。こっちの声が届いてない気がして、余計に焦る…。

1歳という時期は、言葉がまだ通じにくく、思い通りにならないことの連続。親も初めての育児に手探りで、つい感情的になってしまうこともあります。

でも実は、伝え方をほんの少し変えるだけで、子どもの反応が驚くほど変わることがあります。“怒る”のではなく、“伝える”という意識へ。感情をぶつけるのではなく、子どもの心に届く関わり方を学ぶことで、子育てはもっと楽になり、子どもも自然と育っていくのです。

この書籍で分かること

分かること1:「怒る」と「叱る」の違いって何?

子どもを正しく導くためには、感情をぶつける“怒る”ではなく、冷静に意図を伝える“叱る”が必要です。怒りに任せてしまうと、子どもの脳は防御反応を示し、言葉が届かなくなってしまいます。

分かること2:なぜ“やりとり”が子どもの脳を育てるの?

子どもが発した反応に対して、親が返す――この“サーブアンドリターン”の関係が、脳の成長を促します。一方通行ではなく、日々のやりとりが、自己肯定感や感情コントロールの土台になるのです。

分かること3:好奇心と行動力はどうすれば育つの?

子どもが興味を持ったことを頭ごなしに否定せず、自由に試せる環境が重要です。“親が頑張りすぎない”ことで、子どもの「やってみたい」が自然と芽吹き、挑戦する力が育っていきます。

参考書籍の概要

本書の3つの要点

要点1:「怒る」と「叱る」はまったく違うことを理解する

多くの親は「叱っているつもり」で、実はただ怒っているということに気づいていません。怒るとは、親の感情を爆発させる行為であり、子どもにとっては“怖い”“イヤなこと”でしかありません。子どもは恐怖に反応して行動を止めるだけで、なぜいけないのかを理解する余裕がありません。これでは問題の本質に気づくことができず、同じ行動を繰り返す可能性が高くなります。

一方、「叱る」は子どもに“気づき”を与えるためのコミュニケーションです。叱るときに必要なのは、まず親が自分の感情を整理し、冷静な状態で言葉を選ぶことです。大切なのは「行動を直させたい」という目的意識であって、「感情をぶつけたい」ではありません。幼児は特に、言葉での理解が未発達なため、怒鳴ることよりも表情や声のトーン、タイミングが重要です。

たとえば、コップの水をこぼしてしまったときに「何やってるの!もう!」と怒鳴ってしまえば、子どもは驚き、委縮します。しかし「びっくりしたね。次はこぼさないようにしようね」と伝えれば、学びのチャンスに変わります。怒るのではなく、行動の背景に目を向け、子どもにどうしてほしかったのかを具体的に伝える姿勢が求められます。

怒ってしまいそうなときほど、一呼吸おいて「自分は今、何を伝えたいのか?」を心の中で言語化することが大切です。この“間”があるだけで、親子の関係に信頼が生まれ、日々のやりとりが穏やかになっていきます。怒ることをゼロにするのは難しいかもしれませんが、「怒らずに伝える努力」を意識するだけで、子育てのストレスは大きく軽減されるのです。

要点2:子どもの脳は“やりとり”の中で育っていく

幼児は言葉によるやりとりはまだ不完全ですが、親との関係性の中で「やりとり」の基礎を確実に学んでいます。これを“サーブアンドリターン”と呼びます。子どもが目を合わせたり、声を出したり、手を伸ばしたりする――それに対して親が何らかの反応を返す。このやりとりが繰り返されることで、子どもの脳神経は活性化し、感情を整える力や、他者と関わる力が育っていくのです。

たとえば、子どもが泣いているときに「どうしたの?」と声をかけるだけで、子どもは「感情を共有してもらえた」という安心を得ます。そして、親の表情や声色から“自分は受け止めてもらえている”という経験を通じて、信頼や安心感が積み重なっていきます。

これにより、「自分は大切にされている存在だ」と認識できるようになり、自己肯定感の基礎が育まれます。逆に、子どもが何かを訴えているのに無反応だったり、スマホに夢中になっていたりすると、サーブアンドリターンは成立しません。すると、子どもは“無関心”というメッセージを受け取ってしまい、心の土台が揺らいでしまうのです。

このやりとりは、言葉を持たない幼児とって特に重要です。泣いた、笑った、指さした――その一つひとつにしっかり反応してあげることで、子どもは自分の行動に意味があると感じ、世界への興味や働きかけを積極的に行うようになります。つまり、親のリアクション次第で、子どもの好奇心も自信も大きく変わるのです。

何気ない日常の中に、実は子どもの脳を育てるチャンスがたくさんあります。「忙しいから後で」ではなく、「今、この瞬間」が大切です。たった一言、たった一回のアイコンタクトが、子どもにとっては一生ものの学びにつながるかもしれません。

要点3:子どもの好奇心と行動力は“否定しない関わり”から育つ

幼児はとにかく好奇心のかたまりです。触ってみたい、なめてみたい、開けてみたい――そのすべてが「学び」であり「発達の芽」です。親がその一つひとつに「ダメ!」とストップをかけてしまうと、子どもは「興味を持つことは悪いことなのかな?」と無意識に理解し、行動を抑えてしまうようになります。

もちろん、危険なことや壊れてしまうようなものは止める必要があります。でもその際にも、「これは危ないからやめようね」「こっちで遊ぼう」といった声かけで、好奇心を頭ごなしに否定しないことが大切です。

本書では、「頑張りすぎない親」が、実は子どもの好奇心と行動力を最も伸ばすという視点が語られています。親が完璧を目指すと、子どもにまで“正しさ”や“型にはまった行動”を求めてしまいがちです。しかし、子どもにとって本当に必要なのは、試行錯誤できる“余白”と“自由”です。

たとえば、子どもが段ボールを見つけて何かを作ろうとしていたら、汚れるのを気にして止めるよりも、見守ることを選んでみる。少し遠くから見守って、「楽しそうだね」「なに作ってるの?」と声をかけてあげる。それだけで、子どもの創造力と行動力はぐんと育ちます。

さらに、“自分でやってみたい”という気持ちを尊重することが、主体性の第一歩につながります。親が先回りして手助けしてしまうと、子どもは「やってもらえるからやらない」と思うようになり、結果的に挑戦する意欲が失われてしまいます。

親が少し力を抜き、自由に遊ばせて、失敗させて、試行錯誤させる。その経験が、自信や挑戦心、そして「やってみよう!」という行動力に変わっていくのです。

3つのアクションプラン

プラン1:感情的に怒るのではなく、“伝える叱り方”をする

イライラしてしまったときは、まず3秒だけ深呼吸して、視線をそらすなどの「間」を意識してみましょう。その短い時間で、自分が伝えたい本当のメッセージを頭の中で一度整理します。

たとえば「危ないからやめて!」ではなく、「これを触るとケガしちゃうんだよ」と理由を添えて伝えるよう心がけます。叱るときは声のトーンも落ち着いた低めの声にすることで、子どもに恐怖ではなく安心を与えられます。

プラン2:日常の中に“サーブアンドリターン”のやりとりを増やす

子どもが声を出したり指を差したときは、家事の手を止めてでも一度目を見て返してあげましょう。「〇〇見つけたの?すごいね!」など、反応を言葉にして返すだけでも、子どもは“見てもらえている”と感じられます。

泣いたときも、すぐに止めようとせず「悲しかったんだね」と共感してから抱っこすることで、感情の整理をサポートできます。こうした小さな応答の積み重ねが、信頼関係と脳の土台をしっかりと築いていきます。

プラン3:子どもの好奇心や行動を否定せず、できる限り見守る

「また散らかして!」と思っても、幼児にとっては“遊び=学び”であることを思い出しましょう。可能であれば、触ってもOKなゾーン(例えば新聞紙や空き箱を置いたスペース)を家庭内に作り、「ここでは好きにやっていいよ」と自由に試せる環境を整えてあげてください。

好奇心を抑えつけずに、親が“困らない工夫”をすることで、子どもはのびのびと探究できます。「やめて!」の代わりに「こっちでやってみようか」と導く言葉がけが、子どもの挑戦する気持ちを守ってくれます。

本書の評点

実用性
 (4)
分かりやすさ
 (4)
汎用性
 (3)
読みやすさ
 (5)
専門性
 (2)

実用性 

本書は現代の子育てや教育に関する多くの事例や悩みに対して、現実的な視点で具体的な助言をしています。特に「インターネットとの付き合い方」「怒らない叱り方」など、すぐに使えるアイディアが豊富です。一方で、著者の個人的な価値観や経験談に偏る部分もあるため、万人に通じる汎用的な対処法としてはやや限定的です。また、一部では刺激的な表現や煽りも見られ、読者によっては実践をためらう可能性があります。

分かりやすさ 

語り口は平易で親しみやすく、例え話や体験談を交えながら進められるので、非常に読みやすい構成です。子育てに悩む親たちに寄り添いながらもユーモラスに伝える点は秀逸です。ただし、言葉遣いがやや乱暴だったり極端な言い回しが多い章もあり、全読者にとって理解しやすいとは言い切れません。一部の論旨は繰り返しが多く、論理的にすっきり整理されていない点も減点対象です。

汎用性 

ネットや教育に関する幅広いテーマを扱っており、家庭環境や子どものタイプを問わず読める内容ではあります。とはいえ、著者の個人的スタンスや都市部・中流以上を想定したような例も散見され、すべての家庭に当てはまるとは限りません。「僕が親なら~」という主観的なスタイルは説得力がある一方で、再現性や第三者性には乏しいです。また、文化的・宗教的・地方的な多様性に対しての配慮が少ないため、広い読者層に響くかというとやや疑問です。

読みやすさ 

一貫した話し言葉で構成され、内容が軽妙でテンポも良いため、最後まで一気に読み進められます。ユーモアや皮肉を交えた語り口が読者の興味を引きやすく、長文でありながらもストレスを感じさせません。見出しも工夫されていて、章ごとに独立して読める構造も親切です。ただし、著者の毒舌的表現を苦手とする読者には受け入れがたい部分もあるかもしれません。

専門性 

実体験と主観に基づいた意見が中心で、科学的根拠や教育学的知見が十分に裏打ちされているわけではありません。一部で引用されている研究や統計も、出典が曖昧で信頼性に欠ける点があります。教育や心理の専門家というより「インターネット文化の観察者」としての立場が強く、専門書としての厚みは弱めです。そのため、専門的な知識を求める読者には物足りない印象を与えるでしょう。

まとめ

Mam
Mam

なんか、今回いろいろ知れてちょっと気が楽になったよ。怒っちゃうのって、私だけじゃないんだなって。

Tom
Tom

うん、俺も。「怒る」と「叱る」は違うって頭では分かってたけど、やっぱり実践は難しいよな。

Mam
Mam

でも“深呼吸してから伝える”っていうのは、すぐにでも取り入れられそう。あとは子どもが何かしたときにちゃんと「返す」ってことも、意識してみたいな。

Tom
Tom

うん。好奇心って、止めないで伸ばしてあげるのが大事なんだって思ったよ。俺ら、つい「ダメ」って言いがちだったもんね。

子育てに正解はありません。でも、「怒る」から「伝える」へと意識を変えるだけで、親子の関係は少しずつ良い方向に動き始めます。頑張りすぎず、でも大切なことは丁寧に伝えていく――そんな親でありたいですね。子どもと一緒に、私たち親もゆっくり成長していきましょう。

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