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ねぇTom、なんであの新人、いつも評価されてるのかな?別に特別スゴいことしてるようには見えないんだけど…。

いるよね、そういう人。「あの子なら大丈夫」ってなぜか上司から信頼されてる感じ。

なんか悔しいっていうか…ちゃんと仕事してるのに、こっちは全然気づかれないんだよね。

わかる。でももしかしたら、仕事の“やり方”や“見せ方”に差があるのかもよ?
「あの新人、なんであんなに評価されるの?」
そう感じたことのある方にこそ読んでほしいのが、今回紹介する『入社1年目のビジネススキル大全』。本書では、新人のうちから押さえておきたい“仕事の基本”が、豊富な実例とともにわかりやすく紹介されています。
“頑張り”ではなく“成果”で評価されるビジネスの現場。評価される新人は、まず「自分の値段に見合う働き方」ができている人です。感覚ではなく、行動と思考の“質”が鍵になります。
“忙しいアピール”はNG。できる新人ほど、タスクを前向きに捉えて「こうすればできます」と解決策から話し始めます。スケジュール管理や優先順位の付け方に、余裕の秘訣があります。
「報連相」やメールの書き方、チャットでの対応ひとつで評価が大きく変わります。見られていないようで、実は“信頼される人”は日常の行動がしっかりしているのです。

著者 | 木部 智之 |
出版社 | 三笠書房 |
出版日 | 2022年5月11日 |
ジャンル | キャリア・人生設計 |
ビジネスパーソンとして成長したいなら、自分の「値段」を知ることが大前提です。ここでいう値段とは、給料だけでなく、会社があなたにかけている全てのコストのことを指します。
たとえば月給25万円の社員がいたとして、企業はその1.3〜1.5倍の金額を「雇用コスト」として負担しています。社会保険、厚生年金、オフィスの電気代、パソコン代、備品、交通費など…合計するとその人の“実質の値段”は30万〜40万円近くにもなるのです。
この視点を持つと、ただ漫然と仕事をこなすのではなく、「この1日、3万円分の価値ある働きができたか?」と自然に自問するようになります。それは、自分自身の仕事に対する“プロ意識”を育てる第一歩になります。逆にこのコスト感覚がないと、「がんばったつもり」「忙しかった」で済ませてしまい、成長のチャンスを自ら手放してしまうことになります。
著者は「今日一日働いて2万円分の成果を出せたか?」という問いを毎日持て、と言います。これは決してプレッシャーをかけるためではなく、自分の働きを可視化するための習慣です。もし成果に自信がないなら、明日はどう働こうか、何を改善しようかと考えることで、自発的な成長が生まれます。
また、この意識は上司からの見え方にも影響します。「この新人、ちゃんと自分のコストに見合う働きを意識してるな」と感じさせることで、自然と責任ある仕事も任されるようになります。社会人としての第一歩を踏み出すなら、まず「自分はいくらの価値を生み出せるか?」という問いからスタートすべきです。これを繰り返すことが、信頼される社会人への道をひらくのです。
「忙しい」という言葉を無意識に使っていませんか?実はこの一言が、あなたの評価を大きく下げている可能性があります。本書では、「忙しい」は“自分の限界を宣言している”のと同じだと指摘します。たしかに、誰だって忙しいものですが、その状況を口に出すことで、「この人に新しい仕事は頼めない」と思わせてしまうのです。
では、評価される人はどうしているのか?答えはシンプルで、「できない」と言う代わりに「こうすればできます」と伝えているのです。たとえば「AとBのタスクを抱えているので、Cをやるには期限を延ばしていただければ可能です」といった具合に、前向きな提案と代替案をセットで返すのです。
このような返し方をすると、上司や同僚は「この人は解決策を考えられる人だ」と感じ、信頼度が一気に高まります。もちろん、全てを抱え込む必要はありません。大事なのは“どうすればできるか”という思考に切り替えることです。
さらに、「忙しい」と言わない人は、チーム内でも“余裕がある人”と見なされます。不思議なことに、実際には忙しくても、そう見せないだけで頼られる存在になっていきます。特にリーダー候補として見られるようになると、「忙しい」とは口にできない立場になります。その時に備えて、今から“忙しいと言わない訓練”をしておくと非常に有利です。
「忙しい」は逃げ言葉ではなく、評価を下げるトリガーです。あなたも今日から「忙しい」と口にしないことをルールにしてみてください。変化はすぐに現れ、評価はきっと上がっていきます。
「この人に頼むと安心」と思われる人は、ほんの小さな気遣いを欠かしません。それは、目立つ成果ではなく、日常のちょっとした行動から生まれます。たとえば、資料を5部印刷してと言われたとき、きちんとクリアファイルに入れて予備を2部用意する。これだけで「お、気が利くな」と思ってもらえるのです。
こうした「期待値をちょっとだけ超える」行動が、積み重なることで“信頼”が育っていきます。反対に、ただ言われたことをこなすだけだと、「最低限の人」止まりです。ビジネスの現場では、指示待ちの人よりも、「+αの一手」を入れる人が求められます。
しかも、こうした気遣いは時間や労力をほとんど要しません。それでも、相手に与える印象は圧倒的に良くなります。上司だけでなく、先輩や同僚、クライアントからも「あの人なら安心」と思ってもらえるようになります。
さらに、気遣いができる人は、自然と仕事の幅も広がります。「あの人、こういうところまで気を配れるんだ」と思われれば、重要な仕事や対外的な対応も任されやすくなるのです。これはスキルではなく、姿勢の問題です。だからこそ、誰でも今から実践できる行動なのです。
メールひとつ取っても、読みやすいように箇条書きを使ったり、要点を先に書くといった工夫ができます。こうした配慮が積み重なると、周囲の評価は「気が利く人」「信頼できる人」に変わっていきます。信頼は結果ではなく、プロセスの積み重ねによってつくられるもの。今日から小さな+αを意識して行動してみましょう。
まず、自分の給料をベースにした「自分の値段」を計算してみましょう。そこに会社の負担する保険・交通費・設備費も加えてみると、意外と高額なことに気づくはずです。その金額に対して「見合う成果を出せているか?」を毎日問いかけてみるだけで、働き方の意識が変わってきます。
仕事を断るときは、「忙しいので無理です」ではなく、「AとBのどちらかを調整すれば対応できます」「○日までなら可能です」と、前向きな解決案を添えて返しましょう。これだけで、周囲からの評価は大きく変わります。慣れないうちは言い回しをあらかじめ用意しておくのもオススメです。
依頼された仕事を「そのまま返す」のではなく、「相手が次の作業をしやすいように整える」工夫をしてみましょう。資料を綺麗に揃える、メールに一言加える、わかりやすく分類する…たったそれだけでも、「お、助かる!」という印象を残すことができます。
本書は新入社員がすぐに実践可能な内容に特化しており、メールの書き方からPC操作の基本、時間管理、会議の振る舞いまで、日常業務でそのまま使える具体的なテクニックが満載です。特に「ToDo管理」や「ホウレンソウ」の実践法などは、職場で即効性の高いスキルです。実務に直結しており、実用性の点では満点に値します。
イラストや図解も多く、初心者にも理解しやすい構成になっています。また、「〇〇の法則」などの名称を活用することで、読者の記憶に残りやすくする工夫も見られます。一方で、特定の経験を前提にした部分や語彙に若干の専門用語が混在している点が、完全な初学者にはややハードルに感じられるかもしれません。
内容は新卒や20代のビジネスパーソンに特化しており、経験者や業界・職種によっては適用しづらいケースも考えられます。特に「会議のやり方」や「チャットの使い方」は、会社文化によって大きく異なるため、全業界での汎用性にはやや欠けます。とはいえ、社会人の基本としての価値は十分です。
話し言葉に近い文体と語りかけるようなトーンで、テンポよく読み進められます。エピソードや喩え話も豊富で飽きさせません。ただし、章数が多く内容が多岐にわたるため、集中力を要する部分もあり、一気読みには不向きです。
専門知識というよりはビジネスマナーや一般的なスキルに関する内容が中心です。そのため、ある程度経験のある社会人やマネジメント層には物足りなく感じるでしょう。思考法やPCスキルの章でやや深掘りは見られますが、全体としては「専門書」というより「入門書」に留まります。

あの新人が評価される理由、すごくよくわかった気がする!

ね。特別なことしてるってより、日々の“小さな差”を積み重ねてるんだなぁ。

なんか、自分も今日からできそうなことばっかりだったのが嬉しい。

俺も「忙しい」って言わないようにしてみるよ。まずは“深呼吸”からな(笑)
「評価される新人」は、才能や運だけで決まるものではありません。自分の仕事の価値を知り、相手への配慮を忘れず、前向きな姿勢を貫く。そんな“地味だけど確実な行動”こそが、信頼とチャンスを引き寄せる鍵になるのです。