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ねぇTom、いま会社でちょっと調査系の仕事を頼まれてるんだけど、「研究ノートみたいなのもつけてね」って言われて、正直どうすればいいのか全然わかんなくて…。

ああ、それ理系出身としてはめっちゃ懐かしい響き(笑)。俺、大学時代に実験ノート毎日つけてたから、いまでも自然にメモとっちゃう癖あるよ。

そうなんだ…私、文系で論文は書いてたけど、ノートってただの思いつきメモ程度で、ちゃんとした“記録”とか全然やってこなかったんだよね。

文系だとそういう記録文化、あんまりないもんね。でも最近って、分野に関係なく「再現性」とか「経緯の透明性」ってすごく重視されるから、ノートの重要性が上がってるんだよ。

うわぁ、プレッシャー…。どうせならちゃんとやりたいけど、どう書けばいいのか見当もつかなくて。

でも大丈夫。実は「研究ノートに正解はない」ってのが本質で、大事なのは“考え方”と“目的”を押さえることなんだよね。
「何を書けばいいかわからない…」「記録って、ただのメモじゃダメなの?」
そんな悩みを抱える大学生に向けて、本記事では研究初心者でも迷わず書ける実験ノートの基本と考え方をわかりやすく紹介します。卒論はもちろん、就職や進学後の研究にも役立つ一生モノのスキルです。
- なぜ実験ノートに「正解がない」と言われるのかがわかります
記録の形式や方法は自由度が高く、研究内容や目的に応じて変える必要があるからです。だからこそ、自分に合った書き方を見つけることが大切になります。 - 実験ノートが「研究の信頼性」を支える理由がわかります
ノートには思考のプロセスや根拠を記すことで、再現性と説得力が生まれます。記録は「自分のため」だけでなく「他者に伝える」役割も担っています。 - 研究初心者でも続けやすいノートの工夫がわかります
図や矢印、振り返りメモなど、自分にとって見やすく使いやすい形にカスタマイズするのがコツです。継続できる書き方が、研究を支える大きな力になります。
著者
野島高彦
出版社
化学同人
出版日
2018年8月4日
ジャンル
大学・大学院生の悩み
(研究初心者でもすぐに取り入れられる記録のコツが豊富に紹介されています)
(専門用語を避けたやさしい解説で、非理系の学生にも読みやすい内容です)
(理系・文系問わず活用できるノート術ですが、実験中心の内容がやや多めです)
(章ごとのまとまりがあり、ポイントが整理されていてスムーズに読めます)
(専門的な研究手法よりも、記録の姿勢やマインドに重きを置いています)
始めに『【書評:誰も教えてくれなかった実験ノートの書き方】大学生向け研究ノートの書き方完全版|卒論でも役立つ記録の考え方』の3つポイントを、以下1枚の図解で説明します。
以下の項目で、詳しく解説していきます。
研究ノートには絶対的な正解があるわけではありません。なぜなら、研究の内容や進め方は人それぞれで、記録の方法も柔軟であるべきだからです。本書では「記録の正しさ」よりも「記録する意義」や「考え方」が重視されています。
たとえば、実験がうまくいかなかったとき、その原因を探るヒントになるのが記録です。さらに、過去のデータを元に仮説を立て直したり、別の人に研究内容を伝えるときにもノートの質が問われます。記録がない、あるいは曖昧なノートは、研究の信頼性を損なうリスクにもつながります。
一方で、誰かに見せることを前提としたノートを書くことで、自然と自分の思考も整理されていきます。つまり、「なぜ書くのか」を理解することで、記録の目的が明確になり、ノートの中身もぐっと良くなるのです。
本書のこの視点は、今まで「とりあえず書いていた」私の記録習慣を大きく変えてくれました。記録とは、自分の思考の“鏡”であり、未来の自分や他者への“贈り物”でもあるのだと感じました。
実験ノートは、自分の研究の“証拠”であり、“対話ツール”でもあります。なぜなら、研究というのは「誰かに再現されるかどうか」が大前提だからです。著者は「見返す・伝える・証明する」という3つの観点で記録の重要性を説いています。
たとえば、失敗した実験の原因を見返したり、進捗を他人に説明したりする場面では、ノートが頼れる存在になります。さらに、研究の信頼性を担保する上でも、正確な記録は必須です。ノートに記録されていないデータは「なかったこと」とされることすらある、という話は衝撃的でした。
そう考えると、たとえ小さな気づきや思いつきであっても、しっかりメモしておくことが研究者としての責任なんだと気づかされます。本書では、記録の“粒度”や“余白”にも触れており、過不足ない記録のイメージがつかめました。
記録が「後で自分を助ける資産」になることを意識すると、ノートに向かう姿勢も変わります。この章を読んだあとは、何気ないメモにも意味があると思えて、ノートを書く時間が楽しみになりました。
研究ノートは「こう書くべき」という型にとらわれすぎなくてよいのです。その理由は、研究のスタイルも、記録する目的も人によって異なるからです。本書では「自分なりの書きやすさ」を見つけることが、継続のコツだと紹介されていました。
たとえば、図や矢印を使ったり、色分けしたりと、ビジュアル的な工夫を取り入れることで、記録がグッと見やすくなります。また、毎日の実験記録だけでなく、週単位・月単位での「振り返りメモ」も有効だといいます。私自身、1ページにまとめる週報的なノートを取り入れてから、頭の中が整理されやすくなりました。
他人の書き方を参考にすることも大切ですが、最終的には「自分が使いやすいかどうか」が一番の判断基準です。特に卒論のような長期研究では、「記録のしやすさ=継続力」に直結するという実感があります。
“ノートは自分との会話”という表現が印象的で、書くことが作業ではなく、研究の一部に思えてきました。本書を読んでからは、ノートを書くことに対する心理的なハードルが下がり、自然と手が動くようになりました。
先ほど紹介した3つの主要ポイントに対して、アクションプランを提示します。
- 自分の言葉で「なぜ書くのか」を定義してみる
ノートを書く前に、記録の目的を自分なりに言葉にしてみましょう。たとえば、「失敗の原因を見つけるため」「あとで見返すため」など、具体的にすることで記録の質が変わります。目的が明確になれば、「何を書くべきか」が自然と見えてきます。 - 「見返す・伝える・証明する」の3視点で記録をとる
記録する内容に迷ったときは、「自分があとで読み返すとしたら?」「他人に説明するなら?」「証明として使えるか?」という3つの視点を当てはめてみましょう。必要な情報の抜けや曖昧さに気づきやすくなり、記録の精度が格段に上がります。 - 自分にとって使いやすいノート形式を試してみる
一律のフォーマットにこだわらず、箇条書き・矢印・図解など、自分が後から見やすい形式を自由に取り入れましょう。毎日の記録+週単位の振り返りメモのように、リズムをつけるのもおすすめです。続けやすさを大切に、自分なりの「記録スタイル」を育てていきましょう。
良かった点
- テクニックではなく、「なぜ書くのか」という視点から学べるので応用が効きやすい内容でした。
- 難しい用語が少なく、文系出身のMamでもスッと頭に入ってきました。
- 決めつけない柔軟なスタンスが、記録のハードルを下げてくれました。
悪かった点
- 調査やフィールドワークに特化したノート例もあれば、より汎用的だったかもしれません。
- 研究不正対策の観点からの補足があれば、より実践的だったと思います。
- 「どうすれば続けられるか」に特化したページがあると、もっと実用性が高まる印象です。

なるほどね…研究ノートって、“正しく書く”ってより“ちゃんと考えて書く”って感じなんだね。

そうそう。「記録」って聞くと面倒に感じるけど、実は一番ラクなのは“後から困らないように今ちゃんと書いとく”ってことなんだよね。

たしかに…あとで自分で見て「何これ?」ってなるの、あるあるすぎる(笑)

俺も何度かそれで泣いた…。だから、未来の自分に説明するつもりで書くと、自然と丁寧になるんだよ。

それ、社会人でもすごく大事な視点かも。今やってること、誰かに引き継ぐこともあるし。

ほんとそれ。理系でも文系でも、研究でも仕事でも、“記録”ってコミュニケーションなんだよね。
実験ノートに正解はありません。大切なのは、「なぜ書くのか」「誰のために書くのか」を意識すること。その視点を持てば、記録はあなたの研究と人生を支える一番の味方になります。